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労働者の使い捨て、解雇の「自由化」は許さない

 安倍政権は、アメリカと一緒に世界各地で戦争する国に作り変えるための国家安全保障会議設置法案とそれと一体となった「秘密保護法案」の成立に執念を燃やしています。その一方で見逃すことができないのは、「成長戦略」と表して「世界で一番企業が活動しやすい国」にする為に、国民の生活や安全、労働者の権利を守る役割を果たしている規制を徹底的に見直し、撤廃することを主眼にした国家戦略特区法案、産業競争力法案の臨時国会での成立をめざしていることです。

 国家戦略特区法案は、医療分野における保険を使えない医療を組み合わせた「混合診療」の拡大や高層マンションの乱立による住民の環境を脅かす建築基準法の緩和とあわせて、労働分野の規制緩和として「契約条項による解雇有効」は見送られたものの、解雇を合法化する「特区内で定めるガイドライン(指針)に適合する契約条項に基づく解雇は有効となる」という、指針の活用による解雇規制の緩和が盛り込まれています。

 また産業競争力法案においても、企業実証特例制度(企業特区)をつくり、特定の企業に対し新技術の開発や新商品の障害になる規制の撤廃や緩和を「特例的に」認める制度を打ち出しています。その中には企業単位で労働規制の緩和を認める想定をしています。

 さらに、全国規模で実施が狙われる規制緩和で焦点になっているのは「雇用の流動化」を名目にした有期雇用の延長、労働法制の規制の撤廃です。

 安倍政権の労働法制の見直しの動きに対し、日本弁護士連合会(日弁連)は、派遣制度の利用促進、有期雇用期間の延長など、これまで反対してきた法制度となる公算が大きいと指摘。「長い間蓄積してきた労働者の権利を一挙に危機に陥れようとしている」と警鐘を鳴らしています。労働者の使い捨て、解雇の「自由化」等雇用を破壊する「成長戦略」で国民の暮らしが豊かにならないことは明らかです。政府がやるべきことは雇用と中小企業を守るルールの確立と規制の強化です。