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TPP交渉参加 断固止めるべき

 安倍首相がTPP交渉参加を表明しました。昨年の総選挙での「聖域なき関税撤廃を前提とする限り、交渉参加に反対する」との政権公約を踏みにじり、国民を裏切るものです。安倍首相は参加表明の中で、2月の日米首脳会談で「TPPは聖域なき関税撤廃を前提としないことを確認した」と強調しました。しかし、この時確認されたのは「交渉の中で関税撤廃の『例外』を主張することまで禁止していない」ことで、『例外』を認めたものではありません。
 政府が公表している文書においても「新規交渉参加国に求める共通条件」として@包括的で質の高い協定への約束A合意済みの部分をそのまま受け入れ、議論を蒸し返さないこと等が明記されています。安倍首相自身参加を表明した記者会見で「すでに合意されたルールがあれば、遅れて参加した日本がそれをひっくり返すことが難しいのは厳然たる事実と認めています。

 そもそもTPPは、関税や様々な経済的規制を撤廃し、一本化したルールの下で「対等な競争」を保障するというものです。農業団体から大きな反対運動が起こっているのは、「関税の撤廃で安価なお米などの農業製品が出回り、国内の生産物が売れなくなり」壊滅的な打撃を受けることになるからです。政府も農業生産額が4割近い減の3兆円減ると試算しています。そればかりか非関税障壁の撤廃ということで食品添加物や残留農薬などの規制緩和で食の安全が脅かされることが懸念されています。

 同様に関係者から大きな反対の声が上がっている医療の問題も重大です。アメリカでは営利追求型の医療が中心で、日本に対し「混合診療を解禁し、医療への営利企業の参入を認めよ」と迫っています。公的保険のきかない診療の拡大や医療保険の自由化・混合診療の解禁による公的医療制度の縮小でお金がなければ十分な医療が受けられないような事態になるのではと懸念されます。国民の命と暮らしに直結する食と医療を破壊し、経済主権を売り渡すTPPの参加は止めるべきです。