■組合の主張・焦点■ 戻る

新自由主義型復興に反対する

『復興が苦しいのもまた事実だ。〜つい「公助」や「供助」に頼りがちの気持が生ずる。しかし、恃(たの)むところは自分自身との「自助」の精神に立って〜」−4月に閣議決定され、6月25日に発表された内閣の復興構想会議「提言」の結びにある一文である。なるほど復興大臣の「知恵を出せ。出さないやつは助けない」という発言はあながち暴言では無いのかもしれない。この「提言」は経団連「震災復興に向けた緊急提言」(3月31日)そのままに、国の責任を放棄し、増税のみを謳い上げる内容である。

「よくしんぼうした」と同情された宮城県村井知事であるが、実は復興構想会議に村井知事が野村総研と組んで持ち込んだ構想は、「農漁業の集約化、大規模化、効率化であり、そのために民間資本、企業参入が何よりも必要」として、「企業参入を阻む農他法、区画漁業権、定置漁業権等の規制緩和・撤廃。そのために特区を導入、東北三県を道州制導入への先行モデル地域にする」というものである。復旧を待ち望む被災地の農漁業関係者は大きな怒りを持って反対運動に立ち上がっている。

一方、政府は東北三県沿岸部を「医療・福祉モデル地区」として、「認定こども園」を優先整備することが報道された。社会保障・税一体改革成案(6月30日)の「はじめに」では、「〜社会保障・税一体改革については、〜被災地を少子高齢化が進む日本の先進的モデルとしていく」と結んでいる。

被災地の復興対策、社会保障・税一体改革から見えてくるのは、政府の新自由主義型復興をしゃにむに押しつけようとする姿である。被災した保育園の数は岩手、宮城、福島で400ヵ所以上、全壊した園は30ヵ所に上るといわれているが、保有中の園児について誰一人死なせることがなかったのはなぜか。

いま政府に求められているのは、すべての被災地への憲法25条、生存権保障に基づいた復旧・復興対策である。被災した保育所に対しての具体的援助であり助成の強化である。