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公務員給与はムダづかいなのか

 大震災の計画停電もあいまって3月末に「便乗解雇、雇い止め」が大量に発生した。被災地域は旅館や遊興娯楽施設などで大量の雇止めも起きた。厚生労働省によれば、3・4月だけで岩手、宮城、福島の3県で7万人が離職した。深刻な雇用喪失の事態にも関わらず、パナソニックは4万人の従業員削減を発表する等、今こそ復興にむけ雇用創出すべき時に、大企業は率先して雇用、労働条件破壊に手をつけ始めている。

 日本経団連は4月28日、震災からの復旧・復興のためとして、労働法制の規制緩和要望を出した。その内容は「労働時間規制の弾力化」「36協定上限緩和」「不利益変更緩和」「派遣法弾力運用」「請負規制の緩和」など実に171項目にも及ぶ。

 政府・財界は、大震災や原発被害の経済への影響を□実に「構造改革」再強化を強めると同時に、大震災からの復興負担を労働者・国民に押しつけ、大企業の利益擁護を謀ろうとしている。

 5月13日、政府は国家公務員の賃金を一割カットする「給与法案」を提案した。今回の大震災では、公務員減らしの結果、行政体制が手薄になり、広域合併で役場が消えた地域で被災者支援に大きな困難が生まれていることが指摘されている。平成の大合併による行政機能の集約、自治体行政効率化を重視した広域化は、地域の暮しの繋がりを分断、災害に弱い地域を生みだした。

 そもそも民生党のマニフェストでは、『ムダづかいの根絶』として公務員総人件費の削減が位置づけられていた。公務員給与は『ムダづかい』なのか。

 国家公務員の賃金力ットは、当然地方公務員の賃下げ、そして民間の賃金にも極めて大きな影響が予想される。そして政府・財界の狙いは、大震災復興の国民負担押しつけの仕上げとして消費税増税、社会福祉・社会保障の国民と利用者の負担引き上げにつなげようとしている。

 医療、介護、福祉、予育てなどで進めらている経済効率第一の市場化路線は、まさに他域住民の生命と暮らしに背を向けたものと言わざるを得ない。