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子どもの成長発達する権利を〜新システムは違憲

すべての子どもは、単なる保護の客体ではなく、権利の主体なのであって、生命に対する固有の権利を有することはもちろん、ひとしく個人として尊重されなければならない。同時に、健康で文化的な生活を保障され、愛護され、成長発達する権利を有しているのである。(憲法13条・14条・25条・26条)

新たな法制度を構築する際、憲法に謳われた子どもの権利を位置づけることは、制度設計の根幹を成さなければならない。

曰本弁護士会、大阪弁護土会は子ども・子育て新システム」に対し、「すべての子どもが成長発達する権利を保障すべき、この制度では子どもの権利がないがしろにされる」とした意見書を発表した。

1月24曰の幼保一体化ワーキングチームの政府案では、市町村の保育実施義務を廃止、応能負担から応益負担へ、直接契約のもと保育は保護者の自己責任となる。また園に課せられる応諾義務は「正当な理由」があれば断れるとし、定員超過の場合は入園児の選考を可能とした。

児童福祉法に謳う「保育に欠ける場合」、すなわち真に保育を必要とするはずの、応益の費用負担を支払えない保護者が入所を控え、障害児などの特別な支援を要する子どもたちが逆選別されてしまう。このことは介護保険の現場や同法を導入した障害者施設の現状をみれば、何よりも明らかである。

また、市町村がおこなう保育度認定と上乗せサービスの導入により、子どもの発達保障を担ってきた集団保育がずたずたにされてしまうことになる。

「社会保障一体改革」のもと、市場原理の導入を至上命題に、待機児童解消と財源問題が先行して議論され、子どもの生命と成長発達する権利保障の視点がないがしろにされている。新システムが「すべての子どもへの良質な生育環境を保障」とするのであれば、なぜ障害児など支援を要する子どもへの対策が抜け落ち、貧困家庭が排除されかねない仕組みになるのか。先の憲法条文に照らせば「新システム」は違憲、違法と言わざるを得ない。