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福祉の貧困、「一職場一事例」運動にとりくもう

「同じ施設に入所していながら、ある小5の女児は小遣いがなく髪飾りが買えない。『私にも小遣いあるよね?』と職員に訴えてくる」。自立支援法で契約制度が導入され、小遣いも一定保障された「措置」の児童と「契約」の児童が一緒に入所している。小遣いがない、その「契約」の女児は父子家庭で、父親が派遣先を解雇になり入所費の自己負担分すら払えない状況になっている。

 知的障害児入所施設の子どもの実態が臨時大会で報告された。

 格差と貧困、障害児をめぐる制度矛盾が、女児の小さな心、子どもに向かい合う職員の心を痛めている。

 子どもや障害者、高齢者などの「生活」も、まさに「現代の貧困」に襲われている。福祉労働がコミュニケーション労働と呼ばれる所以は、対象とする人々の生活・貧困に向かい合い、要求に耳を傾け「何が必要なのか」を明らかにして具体的援助を行うところにある。同時に必要な制度の実現、権利を保障する地域・社会づくりへかかわることが求められている。

 10春闘で福祉保育労は「4万円賃上げ」と同時に、『福祉の貧困「一職場一事例」運動』のとりくみを提起した。

 社会福祉とは、国民の生活や発達・労働を援助し基本的人権を保障する憲法25条の生存権の具体化である。

 基礎構造改革による制度破壊が進む中、「こんな仕事がしたい!」という思いを、どこかあきらめていることはないだろうか。

 たとえば、本来人間的で総合的な支援であったヘルパー労働が、「介護」に限定されてしまったように、子どもや障害者、高齢者に「もっといろんな支援がしたい」と思いつつも、福祉労働から疎外されてはいないか。

 福祉労働の専門性、「本来私たちがやりたかった労働」を取り戻そう。福祉労働者の専門性を生かし、私たちの労働の在り方と利用者処遇の実態、生活の背景も含めたリアルな実態を見つめ、告発することが、いま求められている。そして「貧困をなくす国民的な運動」に合流していこう。