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最低基準の廃止は公的責任の放棄

 〜霞ヶ関を解体・再編し、地域主権を確立する〜

民主党が政権交代で掲げたマニフェストのひとつ。

地方分権改革推進委員会第3次報告は、「保育に欠ける場合」という保育所の利用者基準の廃止を打ち出し、また高齢・障害・児童福祉を実施する社会福祉施設・事業の設置・運営基準、そして従事者の資格に関する基準を廃止または条例委任することを勧告した。これに対し鳩山首相は「スピードをもって実行に移したい」と答え、内閣府は権限を自治体に移譲する方向で最終調整に入った。

「最低基準の廃止で保育所の整備が進む」ともっぱら報道されているが、現在の地方財政をみれば、「基準以下」になることは必至であり、保育所での子どもの安全・発達保障が脅かされていく。同時に直接契約・応益負担の導入を原則とした「保育制度改革」の議論と並行して進められており、私たちは決して容認するわけにはいかない。

いま議論が進められている社会福祉施設等の最低基準は、施設報酬等の積算を裏付けるむので、利用者処遇と福祉事業に対する国の財政責任の基礎となっている。最低基準が廃止されれば、自治体の財政事情で利用者処遇や労働条件に格差と不安定がうまれ、国の財政責任があいまいにされていくことになる。

「地域主権」というマスコミ受けする美辞麗句のもとで進められようとしているのは、憲法25条に定められた、国が保障すべき子どもや高齢者・障害者の「生存権保障」の放
棄ではないか。

私たちが要求しているのは、低すぎる職員配置基準の引き上げであり、賃金・労働条件の基準の引き上げである。

いま全国の職場で、鳩山総理大臣、長妻厚労大臣、原口・福島内閣府特命大臣宛の「最低基準の堅持を求める要請はがき」にとりくんでいる。最低基準の廃止は国民の要求などではなく、福祉基礎構造改革路線の本流であることを、はがきに託して伝えていこう!