■組合の主張・焦点■ 戻る

中南米変革の嵐米新自由主義からの転換

親米・右派与党の新自由主義「構造改革」路線が永く続いた中米エルサルバドルで、初めての左派大統領が誕生した。新しい政権はアメリカ新自由主義路線に決別、国民の約半数に及ぶ貧困層支援にむけ社会変革を掲げた。これで中南米33力国のうち、対米従属に決別した左派・中道左派政権の国は16カ国に及ぶ。

当のアメリカでは18兆円の公的資金援助を受けたAIG(米保険会社)が、幹部に160億円のボーナスを支払うことに対し、「ひとり最高6億円もの高額報酬を払うのなら労働者の賃金、失業対策に使え!」と政府を脅かすほどの庶民の怒りが広がっている。

アメリカの企業内組合である全米自動車労組(UWA)が150万人(70年代)から50万人(07年)まで組合員数を減らす一方で、福祉保育労が02年の国際シンポジウムに招いたSEIU(サービス従業員国際労働組合)は、医療・介護・ビル管理などで働く低賃金層(流動的な非正規)の労働者を200万人組織するまでに成長してきている。SEIUは昨秋の米大統領選挙に8,500万ドル(約80億円)を投入、オバマ政権誕生に貢献した。

オバマ氏が公約に掲げた労組結成の自由化に向けた法案(労組の自由選択法案)が最近アメリカ議会に提出され、米国内に工場をもつ日本企業を合む米自動車産業界は脅威を抱いて注目している。

オバマ大統領は就任直後、「強い労働運動なしに経済再生のカギである中産階級を強化できない」と発言、労働者・労働組合を支援している。

ひるがえって日本では、100年に一度といわれる深刻な大不況のもと、派遣・非正規労働者にとどまらない首切りの嵐の中で、09春闘がたたかわれている。新自由主義経済が破綻し、昨年末からの「年越し派遣村」のたたかいに端を発して、「構造改革」路線の見直しが始まっている。

海外の変革の動きに確信をもち、社会福祉現場に持ち込まれてきた「構造改革」の流れを転換させよう。