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介護労働者の2万円賃上げ?

政府・与党は人材不足から「介護保険制度」が崩壊の危機に瀕しているとして、10月末に追加経済対策を発表。来春の介護報酬を3%引き上げ、保険料増加分に対しては1200億円規模の国庫負担で賄うとした。

足かけ3年に渡る私たちの「実効性のある福祉人材確保対策を求めるとりくみ」は、昨夏の「新人材確保指針」、今春の「福祉人材確保法」と成果を積み上げ、今回「介護報酬3%引き上げにより月額2万円程度の賃金引き上げ」という「有額回答」を政府・与党から引き出したと言える。同時に、報酬引き
上げに伴う利用料引き上げ分に限定的とは言え、国費を充当する仕組みをとらせたことも画期的と言える。

しかし、手放しで評価はできない。報酬引き上げ分が介護職員の賃金に確実に反映する仕組みになるのか、という点が不明である。また、この「月額2万円」という試算は職員配置基準3対1を基準にしているが、『高齢職場の実態は限りなく2対1に近づいている』と厚生労働省が自ら認めているように、大まかな試算でも到底一人あたり2万円の引き上げになるとは言えない。併せて、配分について「一定の金額がすべての介護従事者や介護職員に一律に還元されるものではない」「手厚い人事配置を行う事業者や雇用管理を改善する事業者に手厚くする」としている点では、真っ先に改善すべき中小の事業者や急増する非正規労働者に行き渡っていくのか極めて不透明であり、介護労働者の賃金の全体的な底上げには必ずしも繋がらないことも考えられる。

さらに利用料についての軽減策は、上昇分を全額国費でみるのは09年度の1年だけで、かつ限定された対象者に限られ、むしろ利用の抑制につながりかねない。

追加経済対策が3年後の消費税引き上げと併せて提案されている。今回初めて提案させた国費を充当する仕組みを突破口に、あくまでも公的財源で介護労働者の賃金水準を引き上げさせるよう、消費税増税反対の運動とともに、正念場の運動にとりくもう。