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福祉人材確保へ実態と要因の十分な検討を

福祉保育労は3月6日に、福祉人材確保基本指針の見直しについて、厚生労働省交渉をおこなった。厚生労働省はこの交渉で、福祉人材確保基本指針の見直しについて、社会保障審議会福祉部会を3月末〜4月に開催し、審議会のまとめを07年度中には出していく考えを明らかにした。

基本指針の見直しは、昨年7月に「介護福祉士のあり方及びその養成プロセスの見直し等に関する検討会」がまとめた報告書で、「近年の介護従事者の需給状況を踏まえ、見直しを行う必要がある」と指摘されていた。

昨年9月に社会福祉法人経営研究会がまとめた「社会福祉法人経営の現状と課題」でも、人材確保指針の見直しに触れ、「早急に全面的見直し(むしろ新規指針の策定)を行うべきである」、『「単なる作文」に終わることのないよう、具体的施策を盛り込むとともに、国、地方自治体、経営者の役割を明確化すべきである』と指摘していた。

介護職場を中心とした福祉人材難は、05年10月の介護報酬の改悪をうけて、はじまった。昨年の障害者自立支援制度の導入、社会福祉施設職員等退職手当制度の改悪、一部大企業を中心とした実感のない「景気回復」が拍車をかけ、介護職場の人手不足の深刻さと他の職場へ広がりをみせている。

福祉保育労は厚生労働省交渉で、福祉人材確保「基本指針」改定検討に対する要求として、@賃金について「公務員賃金の水準を基礎に、職務の特殊性、専門性を考慮した適切な水準」、A常勤換算方式を止めて、職員配置基準の大幅改善と基準内職員の正規雇用化、B完全週休2日制・週40時間労働の明記、母性保護や育児休業、介護休業の保障、C夜間・宿直勤務の改善、D人件費財源の拡充や職員配置基準の抜本的改善の課題を国や自治体の責任として明記することなどをあげた。

実効性ある福祉人材確保対策を実現するには、福祉人材難の実態と要因、対策を十分検討し、労使の共同を軸にした国民的共同の運動をすすめていくことが必要である。