■組合の主張・焦点■ 戻る

希望ある職場づくりは共同運動から

福祉職場で職員を募集しても応募がないという人手不足問題が深刻になっている。13年前にも福祉職場で、人手不足問題が生じ、福祉関係者の大きな共同運動を背景に、福祉人材確保法と基本指針がつくられた。

その時は、バブル景気のもと、福祉職場は3K職場(きつい、きたない、きけん)として、若い人からは敬遠された。また政府は「高齢者保健福祉推進10か年戦略」を策定し、ホームヘルパーなど40万人の福祉職員の確保を計画していた。

10数年経ってにわかに深刻になってきた今日の福祉職場の人手不足問題は、前回と様相が異っている。この間の社会福祉基礎構造改革により、非正規職員が急速に増え、正規職員と同じ仕事をしていても、賃金は低く何年働いてもあがる見込みがない、そもそも1年契約でいつやめさせられるかわからないなど将来不安が大きな要因になっている。今の若い人には、福祉職場は将来性のない職場として映っているのではないだろうか。

全社協の中央福祉人材センターがまとめた今年4月から6月までの職業紹介実績報告では、3ヶ月間の有効求人倍率は「高齢者・介護」で1.91倍と求
人難である。離職率は産業労働者では16%にたいして、介護職員は21.4%と高く、そのうち8割は3年以内に退職している。

厚生労働省は年明けの通常国会に資格制度の見直し等を中心にした介護福祉士法の改正案を提出する予定である。その後に「人材確保基本指針」の見直しも検討する予定である。平成5年公布の基本・指針は、この間の社会福祉基礎構造改革の中で、その効力はなんら発揮されなかった。

基本指針の見直しにあたっては、財政措置をともなう実効性の確保が必要である。

公的福祉制度再生の中心課題として福祉人材確保運動を位置づけ、労使共同、福祉関係者の運動として大きく取り組んでいく必要がある。そのためにも福祉労働者の賃金、労働条件の実態や健康実態を明らかにし、福祉人材確保署名を府民に広げていこう。