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日銀総裁の村上ファンド運用利益は"格差社会"の象徴

ゼロ金利政策をつづける日銀の総裁が、村上ファンドに1千万円出資し、この7年間に1,473万円もの利益を得ていたという。仮に1千万円を定期預金したとしても、7年間の利息はわずか27万円である。日銀総裁は、自らの責任ですすめるゼロ金利政策の実に55倍もの利益を得ていたわけである。

国会で責任を追及された福井総裁は、「運用利益はたいした額ではない」と具体的な額を明らかにせず責任を暖昧にしてきた。マスコミに具体的な運用利益額が明らかにされた今日、「運用利益の一部を社会的に還元したい」と声明を出している。

福井日銀総裁は運用利益を社会的に還元することを目的に、村上ファンドに投資をしてきたとでもいうのであろうか。事のしだいが明らかになってからのこのような釈明と声明は、あまりに国民をぐろうした姿勢である。

日銀総裁は国会の承認を得て総理大臣が任命する。この点で、福井総裁の任命はいわずと知れた小泉首相である。くしくも、小泉構造改革は「官から民へ」と市場主義の拡大を声高に叫び、その裏側で市場主義の競争に耐えられるように大銀行や大企業には税金を湯水のようにつかってきた。他方で、庶民増税や社会保障給付の切りすての上でである。市場競争のあげくの一端が、たまたまライブドア社や村上ファンド問題として白日のもとにさらされた。

今日、市場主義の行き過ぎの一部であるかのように所得や生活の格差拡大問題が急浮上してきている。しかし、格差拡大問題は「市場主義の行きすぎ」というようなレベルの問題ではない。もし、そのように位置づけるならば、日銀総裁の村上ファンド運用利益問題はたまたま国民の前にさらされただけで、明らかにならなければ問題はなかったと言わんばかりになってしまう。

格差拡大問題は、小泉構造改革の市場万能主義の根本から生じた問題であり、ここにメスを入れないかぎり格差問題を解決することはできない。

いよいよ、市場主義と社会保障拡充運動の決戦の幕開けである。