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福祉労働者の賃上げは"社会世論化"が重要

この10数年来、きびしい賃金抑制を強いてきた財界と政府は、06春闘を前に"業績を反映し多少の賃上げも有り"の姿勢をしめしている。また、これまで財界に呼応してき
た連合も従来の「賃金自粛論」から、06春闘では賃上げ要求を全面に打ち出している。

トヨタの年間1兆円以上の利益が象徴するように、国民生活や中小零細企業の"冷え込み"とは裏腹に、日本の大企業のボロ儲けぶりは異常である。大阪に本社をおく資本金100億円以上の大企業:24社の内部留保は、総額25兆円強にもなり、経常利益総額も過去最高の約3兆4千億円に上るという。134社の中で赤字の企業は4社のみである。

このような経済状況を反映して民間企業での賃上げは、成績主義を基調としながらも賃上げの方向でうごき、中小民間企業もその影響下に置かれている。

ところで、民間企業で賃上げの芽生えのある一方で、公務員への攻撃は熾烈(しれつ)を極めている。そして、公務員の賃金引き下げは「人勧」(公務員賃金)に準拠する生活保護費や保育運営費・措置費、診療報酬等々、社会保障関係費の引き下げにもおおいに関連する。民間産業労働者のわずかばかりの賃上げの一方で、莫大な財政赤字を名目にして徹底した公務員賃金の引き下げと社会保障費削減の攻撃が行われている。

民間福祉労働者の賃金は、"民間"だからといって、民間産業労働者の影響下にはおかれない。ここではしくみの詳細は割愛するが、民間福祉労働者は公務員の賃下げの影響をモロに受ける。その影響の実体は、賃下げを受ける公務員賃金以下の賃金であり、おおよそ"一人前の労働者"の賃金とは言いがたいほどの賃金水準である。

今日、福祉労働者は全国で200万人をこえ、公的な対人サービス従事者として最大の労働者数をしめる。その圧倒多数は、女性労働であり青年労働である。非正規雇用・女性・青年の低賃金問題は、日本の労働運動の今日的な重要課題となっている。

福祉労働者の賃上げと運動の方向性は、労働運動全体の中に位置づけ、社会世論化と世論の支持の得られる運動づくりが必要ではあるまいか。