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現憲法は時代おくれなのか・・・?

日本国憲法は、第3章「国民の権利及び義務」として第11条から第40条で、基本的人権を記している。この29条項にわたる基本的人権で、冒頭「すべて国民は・・・」の書き出しから始まる条文は以下の通りである。

第13条「個人の尊重と公共の福祉−幸福追求権」、第14条「法の下の平等、貴族制度の禁止、栄典」、第25条「国民の生存権、国の社会保障的義務」、第26条「教育を受ける権利、教育の義務」、第27条「勤労の権利義務、勤労条件の基準、児童酷使の禁止」等。

この5条項は、すべての国民を対象とした点で基本的人権の中でも、もっとも基礎となるものといってよい。

そして、憲法改悪が日程に上っている今日、憲法を変える以前に、この5条項はすでに危機的な状況にある。

本来、貴重な条文であるはずの13条は、25条の生存権を否定する裏付けとして、論弁のように13条にもとづく「契約論」が横行し、貧しく苦しむ国民底辺層の幸福追求権の剥奪が始まっている。14条の「法の下の平等」は絵にかいた餅となり、マスコミの浴びせかけるような皇室報道は異常としか思えないほどである。25条は、国や自治体は義務をはたすことを怠り、国民の「自己責任」だけが強調されている。26条は、不況と政治不信をベースに治安が脅かされる社会状況の下で、教師も子どもも安心して教育を受ける条件すら放置されたままである。27条にいたっては、中高年はリストラにおびえ若者は思う仕事にも就けていない。基本中の基本のはずの5条項の基本的人権すべてが、危機的状況の下で、今日、憲法改悪の動きは強力にすすめられている。憲法改悪論者は、社会不安と国民の生活危機の状況にあわせ、悪しき現実を肯定し、それにあった憲法にしようとでも言うのであろうか。

高い理想をかかげ、その目標にむかって努力することを現憲法はうたっている。努力を怠り、政治家や権力者が義務から放免されることを目的にした憲法改悪は、断固拒否すべきである。