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福祉労働の専門性と専門職制について

対人関係の福祉労働に、専門性が必要なことは誰も否定しない。しかし、どのような専門性を必要とするか、その内容となると諸説さまざまである。ところで、福祉労働の専門性は、@相手の人格を尊重すること、A心身ともに成長・発達をうながし、失われた能力の回復や新たな能力の芽生えの働きかけ、B仕事が社会発展に結びつくこと、以上の三点は、子ども・障害者・高齢者等、どのような対象であっても前提となるものである。また、「施設福祉」であれ「在宅福祉」「地域福祉」等、事業形態のちがいはあっても共通項のはずである。

日本国憲法第25条は国民の生存権をうたい、第2項は国の「社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上と増進」の義務を記している。福祉労働は、国民の生存権を保障する具体的で専門的なサービスのひとつであり、福祉労働者は専門的技術・技量をもった専門労働者のはずである。

そこで、今回、問題にしたいことは、福祉労働者の専門的技術・技量の具体は何かということであり、しいては「専門職としての福祉労働の確立」の課題である。さらに、専門職である限りそれはライセンスをともない、法的・社会的認知を必要とする。当然、ライセンスのための福祉教育体系についての吟味も重要な課題である。

以上の点でみると、「専門職としての福祉労働の確立」は、いたって瞬昧であり、暖昧なるがゆえに社会的身分や賃金をはじめとした劣悪労働条件と連動せざるを得ない一面をもっている。

今日、福祉・保育・介護等の職域で「業務独占」のライセンスはホームヘルパー資格のみであり、保育士をはじめ介護福祉士、社会福祉士等のライセンスは「名称独占」でしかない。

以上の点で、「業務独占」のホームヘルパーの身分・労働条件向上の課題と運動は、福祉労働者全休の身分・労働条件向上の突破口になりえる要素を十分にもっている。介護保険法の抜本見直しの今年を、ぜひとも福祉制度破壊攻撃への反撃の年にしたいものである。