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福祉や福祉職員の賃金には、公的な保護が必須条件

福祉労働者の賃金は、一般労働者の賃金水準に比べたいへん低い。社会一般水準の賃金を得ているのは、公務員の身分をもった福祉労働者だけである。

大阪府下の社会福祉法人にはたらく福祉施設労働者には、これまで府職員に準じた賃金が得られるよう、大阪府から社会福祉法人に補助金が交付されていた。このような補助を行ってきた自治体は、全国でわずかである。府下の福祉施設の圧倒多数が社会福祉法人で運営されている今日、この補助金は府民福祉の水準を維持・向上におおきな役割をはたしてきた。

ところが、太田知事は2000年、この補助金を2005年度までに全廃することを決め、2000年度から2004年度までを暫定措置期間とし、毎年補助金を削りつづけてきた。そして今、いよいよこの補助金を全廃する2005年度予算案の準備がはじまっている。
賃金は労働力の対価であり、労働力価値は労働力をつくるために要する労働時間総量、すなわち労働力をつくるために要する費用だという。福祉労働力は大学や専門学校で学び時間も費用も要し、一般労働力に比べその価値は高いはずである。しかし、現実の福祉労働者の賃金は労働力価値に比べ余りに低い。

賃金は労働力の価格でもある。しかし価格は、そのものの持つ価値どおり素直には反映しない。需要と供給のバランス関係が反映するという。

福祉労働力の価格として反映する賃金は、なぜこのように低いのであろうか。国民の福祉要求からみれば、需要は高いはずである。しかし、この需要は、必ずしもあり余るお金をもった需要者ではない。おおくの需要者は日常の生活を切りつめた者たちであり、福祉サービスが市場化されると需要は潜在化してしまい、市場にのこる需要はごく限られたものとなってしまう。福祉サービスは、どだいサービス商品としては成立たない。公的に需要や福祉労働力賃金を保護しない限り、福祉労働者の賃金は低額にならざるを得ない理由がここにある。