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二大政党制は民主主義の危機

つかの間の暑い夏の参議院選挙は終わった。結果についてマスコミは、二大政党制の流れが始まったという。

選挙後、大阪選挙区で民主党を応援した島田紳助の後追いテレビをみた。彼は「民主党支持者ではないが、民主党が大人の政党になり二大政党制になってほしいから民主党候補者を応援」と熱弁していた。

定数5議席減の下で、与党は自民党49・公明党11と合わせて60議席、野党は民主党50・共産党4・社民党2、反自民の無所属5も加えれば61議席である。議席数だけを見るならば自公与党は改選議席を守り、野党は共産党が激減し、その議席はすべて民主党に流れた。議席配分を表面的にみれば「島田紳助流」二大政党制は確かにすすんだのであろう。しかし、国民と日本の将来にとって各党の政策から見た場合、どうなのであろうか。

争点の年金問題では自公与党と民主党は「三党合意」をし、2007年度に消費税率の引上げを検討するという。年金制度と消費税問題の対決軸は、「自・公・民」三党と年金制度の抜本改善・消費税引き上げ反対をかかげる共産党であった。

自公与党はイラク戦争での多国籍軍参加を閣議決定し、自民党は来年には改憲草案を発表するという。民主党も「創憲」の名で改憲をかかげ、小泉流「自衛隊の多国籍軍参加」には反対するものの、集団自衛権を認め自衛隊の国連軍参加を主張する。「自・公・民」三党は、自衛隊の存在についても改憲についても政策に大差はない。護憲を訴えたのは共産党と社民党であり、とりわけ共産党は安保条約に一貫して反対し「9条を守りぬくことを公約にかかげた。このように政策から二大政党制を見るならば、自公与党と民主党の基本的な違いはない。

対決軸が明確でない二大政党制は、国民にとってはまったくのゴマ化しである。だからこそ56%という低投票率だったのではあるまいか。この低投票率は民主主義危機の象徴に思えてならない。

今こそ、民主主義を本気に語りあう大切な時代だと切に思う。