■組合の主張・焦点■ 戻る

出生率低下は青年問題の象徴

出生率が1.29にまで下まわったことが、年金改悪法が成立した後に厚労省から発表された。年金問題では、高齢社会を誰が負担するのか大きな争点の一つだっただけに、厚労省は政治的おもわくをもって発表したと言わざるを得ない。

ところで、常に高齢化社会の到来で問題となる団塊世代(戦後第一次ベビーブーム)の子どもたちは、約25年後に当然のように第二次ベビーブームを生む。第二次ベビーブームの頂点は1973年であり、その出生数は第一次ベビーブーム270万人に対し209万人である。

人口動態からすれば、第三次ベビーブームがあって当然である。ところが73年から21年後の94年に約120万人の出生数があり出生率は前年をわずかに上まわるが、この約20年間出生率は下まわりつづけたままである。


今日、大都市での平均結婚年齢は約25.5才といわれるが、出生率は結婚年齢とも直接的に関係している。そして、何よりも問題なのは、若い世代が将来に期待をもち、結婚し出産の準備や条件をどの程度約束されているのかどうかにかかっている。その意味では、若年労働者の10%をこえる高い失業率や非正規・フリーター等の雇用問題は、結婚と出産の大きなマイナス要因である。さらに、成果主義賃金や能力賃金は労働者の肉体と精神を蝕み過度のストレスを与えている。

「一人扶持は食えなくとも二人扶持なら食える」とは過去から言われつづけてきたことであるが、昨今の若者をとりまく過酷な状況は決してそのような生易しいものではない。

出生率を始めとした人口動態は、国の将来や民族の存亡にかかわる問題である。本来ならば労働力の点からも、資本主義・企業の将来にとっても死活問題のはずである。ところが多国籍企業化するわが国の大企業・財界には、たいした問題ではないのかもしれない。

しかし、国民にとってこの出生率低下は、老いも若きも重大問題である。いまや青年をとりまく諸問題は、国民的な重要課題となっている。