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労働諸法「改悪」は福祉職場に何をもたらすか

 2月18日、労働基準法や労働者派遣事業法などの改正法案要綱が出された。
 今回の労働諸法「改正」は、はたらく者にとっては大改悪そのものであり危険なものである。法案の国会上程は、全国統一地方選挙後になされるという。統一地方選挙前に法案を明らかにしたのでは「選挙結果に重大な影響を与える」と、政府・与党までが危惧するほどのものである。今回の最大の改悪点は、解雇自由化と有期雇用での期間延長にある。
 法案要綱では、金銭解決による解雇自由化の法制化は検討課題として継続となったものの、「社会通念上相当であると認められない場合」以外、経営は自由に労働者を解雇できるとしている。このような解雇自由化の条項そのものが、労働者保護を謳う労働基準法になじむものではない。
 また、これまで1年未満とされていた有期雇用の期間を、法案要綱はご3年に延長するという。
 周知のように、労働基準法では「正規・常勤」「非正規・非常勤」というような労働概念はない。あるのは、「雇用期間の定めのある雇用」(有期限雇用)か、「雇用期間の定めのない雇用」(無期限雇用)かだけである。通常、私たちは有期限雇用を「非常勤・非正規」と呼ぴ、無期限雇用を「常勤・正規」と呼んでいる。
 今回の法「改正」により有期雇用が1年から3年に延長されることは、パート・非常勤労働者にとって有利なことではないかと理解する人もいるかも知れない。しかし、今回の法「改悪」はパート・非常勤労働者の救済にあるのではなく、そのねらいは正規労働者を減らす一方でパート・非常勤労働者を大量創出するところにある。
 このねらいは労働者派遣事業法「改正」で、派遣労働者のいっそうの拡大とセットとなっていることを見れば一目瞭然である。
 今回の労働諸法「改一悪」の成立により、民間福祉職場での解雇増大、職員のいっそうの非常勤化や派遣労働の一般化がすすみはしないか、たいへん心配である。