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サービス残業の実態を、徹底的に明らかにしよう

 ニ月初初旬、東京の特養ホーム経営の社会福祉法人理事長が、サービス残業による労基法違反で逮捕された。
 労基署による残業手当(割増賃金)の支払い勧告は、三菱電機川崎重工や最近では”サラ金”業界の「武富士」にも出されている。これらの勧告は、とうぜん運動があっての勧告である。同時に2001年4月の厚労省労基局『労働時間の適正な把握のために便用者が講ずベき措置に関する基準』によるところが大である。また、この厚労省通達を出させたこと事態が、運動のおおきな成果である。
逮捕された特養ホーム(120人定員)の未払いのサービス残業の金額は一ケ月あたり約250万円にのぼり、99年4月から開設以来の合計は約1億円になるという。新聞の全国紙で報道されるくらいであるから、世間一般からすれば、それは大事件なのであろう。また、サービス残業未払いで「労基法連反容疑逮捕」という点でも、特異な事例だ。
 このような世間一般の常識や労基法違反の特異性にたいし、福祉関係者は今回の事件をどのように見ればよいのであろう。
 朝日新間は「職員が勝手に自己研修をしていたことで法人に責任はない」と、経営者の談話を掲載している。経営者のこのような開き直るような姿勢は、けっして許されることではない。これでは社会福祉法人の経営だけに、問題かあるかのようである。
 しかし、ほんとうに社会福祉法人の経営者が悪徳だったから、このような問題が発生したのであろうか。
 実際は、そのような単純な事柄では決してない。ことの本質は介護報酬や措置費、保育運営費など法人の経営財源そのものが、厚労省によってたいへん低く積算されていることにある。そして、このことを関係者自らが黙認し、職員の低賃金やサーピス残業を正当化していることにこそ、最大の問題なのではなかろうか。
 03春闘、慢性的な職員不足と低賃金の根源を徹底的に明らかにし、その根源にむけての運動こそが重要と思うのだが。