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福祉市場化と福祉労働・労働市場を考える

 「市場(マーケット)」とは、商品売買の行われる場である。そして、売買される商品は何も目に見える物だけでなくサービスも商品として売買され、「金融市場」「労働市場」などあらゆるものが市場を形成する。資本主義社会が「もっとも高度に発達した商品経済社会」と言われるゆえんである。今日、すすめられている福祉市場化は、福祉サービスをも商品売買の対象として市場を形成することを意味する。
 「市場」を考える場合、その市場が「完全自由」市場なのか、あるいは様々な制約が加えられた「規制」をもった市場なのかが問われる。「完全自由」市場から出発した資本主義社会は、その発展とともに生じた諸矛盾を解決するために、市場にたいし様々な規制を加えてきた。福祉サービスの商品化を原則禁止し、公的制度で保障するというのもその規制のひとつであった。
 福祉市場化=福祉サービスの商品化を考える場合、サービス商品のもつ性格をあらためて明確にする必要がある。「サービス」商品が「生産物」商品ともっとも異なる点は、サービス労働そのものが商品となり、商品購買者からみれば提供された労働サービスが直接に消費される点にある。
 福祉サービスを提供する労働力は、とうぜん「労働市場」を形成する。では、いったい「労働市場」の中での福祉労働は、どのような位置を占めてきたのであろうか。いまや福祉労働者は全国一五〇万人に達しようとしている。この中で一部の公務員労働者は国家(地方)公務員法や人勧制度など、様々な規制や保護がもうけられている。しかし、民間福祉労働者は歯抜けのような労基法や、何の役にもたたないような最賃法だけである。さらに言えば、低コストで積算された介護報酬や措置費・保育運営費など、政府が買手である使用者に実質的な規制と条件を加えた一方的な買手(使用者)上位の労働市場である。
「〇三春闘」では、労基法や最賃法などの抜本改善をもとめ、労働市場に規制と保護を加える運動が必要なのではなかろうか。