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民間福祉労働者の賃金水準は人勧に準拠

 前号では「民間福祉労働者の賃金水準は、春闘相場と人勧でなりたっている」と、結論づけました。
では、いったいどのような仕組みが、民間福祉労働者の賃金水準を決めているのでしょうか。じつは人事院勧告は公務員の賃金を決めるだけでなく、民間福祉労働者の賃金財源をきめる基準ともなっています。
 周知のように、民間保育所運営の財源は厚労省の定める保育運営費と、市町村の独自の補助金が基礎になっています。また、児童入所施設や障害児者施設の運営財源は厚労省の定める措置費であり、特養ホームなどの介護職場は二〇〇〇年度から措置費から介護報酬となっています。
 保育運営費や措置費は施設の業種と職種を区分し、福祉職俸給表をもとに人件費単価を見積っています。
例えば保育所の保育士の場合、祉職俸給表一級八号(一九四,六〇〇円)に格付けして保育運営費を積算しています。格付けの号級は業種や職種によって異なりますが、措置費においても積算方法はまったく同じです。
 残念ながら介護報酬の中に人件費がどのように見積もりされているのか、厚労省は定かにしていません。しかし、介護保険を実施するにあたって検討された審議会では、当時の特養ホームの措置費人件費積算と民間相場賃金を勘案して人件費を積算し、介護報酬を設定しています。ちなみに、大阪府が公私間格差是正改悪の暫定措置をすすめるとき、介護報酬収入総額の五〇〜六〇%を人件費として見積っています。
 以上、民間福祉労働者の賃金は人勧を準拠に積算され、それも、たいへん低い水準で、かつ平均化されて積算されているのです。