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第1号議案 2006年度運動方針(案)




第1号議案 2006年度運動方針(案)

憲法9条改悪を目的とした諸法案に反対し、憲法25条を暮らしに生かす運動にとりくもう

はじめに


 福祉職場では、「福祉のさたも金次第」、「自己責任」が追及される事態が広範に広がっています。高齢職場では、介護保険制度が改悪され、部屋代や食事代までもが利用者負担となり、障害職場では、09年度に介護保険統合を前提とした自立支援法が成立し、利用者1割負担が強行されました。負担増に耐えられない高齢者や障害者は、サービス利用をあきらめるケースが増大しています。子どもを保育所に預けて働かなければならない世帯が増えているものの、高い保育料は保護者の生活を苦しめています。

 政府・厚労省による福祉財源の締め付けは、「企業経営と同じような施設経営」を経営者に求め、利用料の払えない利用者・保護者を追い出し、労働者には賃下げ、労働時間の延長、非常勤職員への置き換えを迫っています。仕事の豊かな経験と知識が求められているにもかかわらず、民間福祉労働者の勤続年数は5年をきり、職場を去っていく人がふえ続け、メンタルヘルス問題も急増しています。

 利用者、経営者、労働者にとって、未来ある福祉職場とはなっていないばかりか、相互にクサビをうち、分断していく仕組みをつくりあげています。こうした状況を変えていくための真剣な論議と運動がもとめられています。

 最近の政治、外交の動向をみると、北朝鮮のミサイル発射問題を利用した防衛強化の世論づくりと外務大臣の「先制攻撃」発言、靖国神社参拝と中国、韓国との関係悪化、アメリカ軍グアム移転のための3兆円負担と「海外で戦争する国」づくりのための国内法整備、さらなる社会保障、社会福祉の削減と社会保障の財源確保を理由とした消費税増税問題など、平和や生存権が脅かされることばかりです。

 しかし、一方ではこうした社会保障の構造改革に対する不満や、平和に対する国民の思いが行動にあらわれはじめています。米軍基地がある岩国市で、保守の市長候補が米軍基地恒久化反対で当選し、沖縄市長選挙での基地恒久化に反対する市長の誕生など、米軍基地のある地域では自治体ぐるみの反対運動が広範にひろがりをみせています。滋賀県知事選挙で自民党・公明党・民主党が推薦した候補者が敗れ、東大阪市では現職の市長を破り、日本共産党市長が当選しました。また、所得税、住民税、国民健康保険料、介護保険料の急激な値上がりで市役所や区役所に説明を求める高齢者が今までになくおしかけるなど、自民党・公明党政治を揺るがすことがおきだしています。

 政権与党は私たち国民、労働者に「戦争か平和か」、「生存権か自己責任か」の選択をせまっています。私たちが求めるのは平和で豊かな社会、人権が保障される社会ではないでしょうか。憲法9条を守り、25条を暮らしに生かす運動を大きくしていきましょう。


第1章
運動の基調

(1)改憲勢力の策動を阻止し、平和で民主的な日本をつくろう

 日本とアメリカが一緒になって、世界の諸問題に軍事的に対処するあらたな体制の確立が鮮明にうちだされています。その一方で、全国的な「九条を守る会」の運動も大きく広がりをみせています。
 「海外で戦争をする国」づくりの策動に反対し、みんなの力で「職場九条の会」をつくり、憲法改悪反対署名の10万筆目標を達成し、全力で憲法改悪を阻止します。 

(2)格差社会を是正し、国民の福祉と暮らしをまもろう

 小泉内閣による「構造改革」のもとで、大企業の利潤追求を最優先し規制緩和万能、弱肉強食の経済政策がおこなわれ、雇用と賃金の破壊、社会保障のきりすてなど、貧困と社会的格差が急速に広がりました。大企業の利益至上主義は、アスベスト被災、耐震強度の偽装などさまざまなかたちで国民の安全と安心を破壊しています。
(国民の生活の支えとなる真の社会保障・社会福祉に再構築しよう)

 富める者と貧しい者との格差社会が広がる中で、国民の暮らしの支えとなるべき社会保障が、逆に国民の生活やくらしを破壊する制度となる事態が広範に広がっています。国民健康保険料の滞納は全国で461万世帯、大阪では43万世帯(2004年6月1日、厚生労働省資料)にのぼり、高い年金保険料を払えず制度から除外されつつある人が1,000万人にも上り、過酷な生活保護の抑制がすすめられています。

 国民、労働者が社会保障費等の負担増に耐えられなくなると、「社会保障、社会福祉の充実」の名のもとに低所得者にはたえがたい大衆課税である消費税増税がねらわれています。すでに国民、労働者の負担増は、限界にきているのではないでしょうか。

 社会福祉・社会保障制度の連続的な総破壊攻撃を、全労働者・国民に加えられている生活破壊の攻撃として位置づけ、福祉保育労中央本部や大阪労連に結集し、福祉拡充運動を積極的にとりくんでいきます。また、来年4月の一斉地方選挙、7月の参議院選挙は、社会保障改悪の流れをかえる絶好のチャンスと位置づけ、大いに論議していきます。

 自治体闘争では、思想・信条の違いを乗り越えた利用者団体が運動の中心となり、障害者自立支援法での利用者負担の軽減をもとめた運動がひろがるとともに、大東市や横浜市での公立保育園の民営化反対の保護者の運動も成果をあげています。利用者団体との共同はひきつづき重要なとりくみです。

(3)実効ある福祉人材対策の実現をめざします

 日本の雇用労働者は正規労働者と非正規労働者を合わせて5,355万人です。非正規労働者数は雇用労働者の1/3以上を占めています。非正規労働者の8割は年収200万円程度となり、そのほとんどを青年、女性が占めています。福祉職場も同様の傾向にあります。

 介護職場では、介護報酬が引き下げられるたびに、不安定雇用労働者は増大し、今では職員総数の半数近くがパート、非常勤職員が一般的になっています。障害者自立支援法の導入により、障害者施設等での給付費が大幅にひきさげられ、パート・非常勤職員で対応しなくてはならない状況が広がっています。こうした点では、パート・非常勤職員の増大は厚生労働省の手によって構造的・政策的につくられています。そのため、職員募集をしても応募がない、採用してもすぐに職場を去っていくといった深刻な人材不足が生じています。

 こうした事態もふまえ、民間福祉労働者の賃金や職員配置基準、労働密度の強化による健康破壊など、職場実態を正しく調査し、福祉労働者の専門性のあり方とあわせて、多くの住民に福祉職場と福祉労働者のおかれた現状を知らせていくとともに、国・自治体に対し実効ある福祉人材確保対策の強化を求めていきます。あわせて、誰もが安心して暮らせるための最低保障年金制度の創設運動などと結合し、労働者、国民、経営者を含む国民的共同の運動を展開していくことがますます重要な課題となっています。

(4)福祉保育労大阪地方本部をみんなの力で大きく、強くしよう

 日本の労働組合の克服すべき問題として、全労連は、@根強い企業内意識が残されていること、A正規雇用労働者を対象とした活動にとどまっていること、B幹部請負で全員参加の運動に成功していないことなどをあげていますが、福祉保育労でも率直な自己点検が求められています。

 福祉保育労大阪地方本部は、着実に組合員が増え続けています。仕事の主人公は労働者であるという誇りと、労働者がもっている権利を認識すること、要求に確信をもち、実現するまでたたかい続ける構えをつくることは組織強化をはかる意味でも重要です。

 福祉をとりまく状況は大きく変わり、利用者状況や保護者の労働実態は大きく変化しています。そうした動向をきっちりつかむためには、今まで以上に学習が求められています。総合社会福祉研究所の研究会や勤労協の労働学校に参加していきます。また、地本独自の学習講座への積極的な参加、「大阪社会福祉研究集会」の成功など、地本あげての学習運動をすすめていきます。
(ふえ続ける不安定雇用労働者の組織化をはかり、均等待遇をめざしていこう)

 今後も福祉職場では、社会保障、社会福祉費の削減に合わせて、不安定雇用労働者は、これからもふえ続けることが予測されます。

 労働組合法では、「労働者とは、職業の種類を問わず、賃金、給与その他これに準ずる収入によって生活する者」をいい、パートや嘱託職員、登録ヘルパーなどの不安定雇用労働者も、この法律の労働者の規定にあたります。また、労働基準法では労働者の労働条件は、「労働者が人たるに値する生活を営むための必要を満たすべきものでなければならない」と記されています。

 パート・非常勤職員も一人の労働者であり、「同一労働・同一賃金」の原則に立って均等待遇をめざさなければなりません。また、経営との間で「法定」協約締結権を確保するためにも、そして利用者の処遇向上と労働条件のためにも組織化は重要です。分会に非常勤・パート職員をむかえいれ、分会組織を強固なものにし、組合民主主義を貫く組織にしていきましょう。


第2章
私たちをとりまく情勢

第1節
福祉現場とわたしたちの労働実態、社会保障きりすての方向

(1)福祉労働者の働きがいと福祉現場の労働実態

 福祉職場では労働時間内に終わらない仕事、メンタルヘルス問題や病休者の増加、利用者・保護者との関係の複雑化など、私たちは毎日くたくたになりながらも福祉労働にとりくんでいます。そして、体をこわしたり、希望を失い、職場を去る仲間があとを絶たず経験と知識の継承が困難になってきています。

 福祉保育労のとりくんだ06春闘の「福祉に働くみんなの要求アンケート」では、仕事のやりがいを89.64%が感じている一方、63.65%の人が仕事をやめたいと思ったことがある、と回答しています。理由として、「忙しすぎる」22.70%、「賃金が安い」16.65%、「体がもたない」12.13%と答えています。生活実感では「苦しい」が64.59%、など過密労働の上に低賃金で生活の将来設計もできない、という実態がうかびあがりました。

 福祉の市場化がすすむことにより、福祉労働が大きく変質させられています。制度改悪のもとで、労働条件・賃金の引き下げがあいつぎ、労使での徹底した民主的な話し合い・合意をもとに、労働条件を決めていくことがたいへん重要です。

 雇用形態の内訳では、正規労働者は52.8%、非常勤職員は45.1%(社会福祉の動向2006)となっています。障害者自立支援法や介護保険法改正、補助金の削減などによりいっそうの非常勤化がすすむことが予測されます。非正規労働者の組織化、「同一労働同一賃金」の均等待遇の実現、「賃金底上げ要求」運動を本格的にとりくむ必要があります。

 豊かな福祉は国民の切実な要求であるとともに、よい仕事がしたいという思いは労働者の要求です。そのためには、社会保障の充実とともに福祉労働者の高い専門性が確保されなければなりません。厚労省は、福祉人材の確保に関する総合的な見直しで07年の通常国会に関連法案を提出する考えを明らかにしています。厚労省は06年4月より「介護雇用管理改善計画」を実施し、介護労働者の離職率を2009年までに20%未満に抑える目標をもりこんでいます。この指針を実りあるものにし実行させていく運動とともに、労働組合としても福祉の専門性を高める運動をおこなうことが重要です。

 個別対応職員・被虐待児受け入れ加算・家庭支援専門相談員など、児童養護・乳児院には不十分ながら予算的な対応がとられています。しかし、児童福祉法の改正を受け児童養護職員に虐待の禁止・秘密保持・苦情への対応など、職員配置はそのままに職務内容の水準が引きあげられました。職員配置増に必要な予算増を政府はおこなうべきです。

 政府の福祉制度破壊では、利用者・保護者、経営者、労働者への分断攻撃もかけられています。「権利」としての福祉要求が切実となっている今日、職場と地域から国と自治体にむけた「国民の福祉要求に応え、福祉サービスの質を確保するには福祉労働者の身分の安定や賃金の底上げが不可欠である」という国民的合意づくりを、地域住民・利用者と家族、経営者、労働者など社会福祉法人関係者との共同した運動を広げていくことが重要です。

(2)公的責任のきりすてと受益者負担の導入

 公的福祉サービスや公務員のきりすてと同時に、自己責任が福祉・医療・教育分野に導入されています。受けるサービスに比例して利用料負担を強要する、受益者負担主義です。

 介護保険の改悪は施設サービスではホテルコストの導入による部屋代や食事代の自己負担などを強要しています。昨年10月から、特別養護老人ホームなど介護施設での全国的な退所者が1000人を超す深刻な事態がひきおこされています。また住民税非課税世帯の退所者がでており、国の低所得者対策の実効性が問われています。

 在宅サービスでは、軽度者は新たに要支援1、要支援2といった新予防給付がつくられ、支給限度額が大幅に減らされ給付抑制が問題になっています。ヘルパー利用やデイサービスに定額を導入して制限がかかりベッド利用ができないなど、利用者だけでなく事業者も採算面で困難になっています。また、在宅介護支援センターへの補助金が打ち切られ、自治体責任による地域包括支援センターが創設されました。地域包括支援センターは、介護予防のケアプラン作成のほか、高齢者の総合相談・権利擁護(虐待防止等)などの重要な役割があります。しかしながら準備不足で始まり人手が足りないため、最終責任である予防プランに追われ、「介護予防プランセンター」化している現状です。今後、ケアプランがつくってもらえないケアマネ難民が問題になっています。そして介護保険料は、4月から全国平均で4,090円(前期は3,293円)となり前期保険料より24.2%増、大阪では4,585円(前期は3,480円)となっています。

 このように高齢者への高まる負担増にたいし、自治体独自による負担軽減制度がはじまっています。大阪府下では、羽曳野市・豊中市などで市民税非課税世帯への助成をはじめ、吹田市では通所介護利用者に食事代100円を助成しています。

 そして、障害分野では「自立支援」の名で受益者負担を原則とする自立支援法が4月から実施されています。これまでは能力に応じた負担でしたが、サービスを利用することで1割原則自己負担を強要するものです。

 施設では利用者の「利用実績払い」として報酬支払いが、「月払い」から22日分割の「日払い」へとかわり、給付費が引きさげられました。また給食材料費・調理員の人件費をも含めた金額の利用者自己負担化など、徹底しています。そして、土曜日開所や夏・冬休暇の縮小、開所日数の増加や事務労働の増加など、労働者には賃金削減・労働強化としてあらわれています。多くの施設では減収となっており先行きの見えない職場が多く存在しています。

 4月以降、応益負担を理由とした利用者の退所や一家無理心中の事件など、自立とは程遠い制度であることは間違いありません。利用者負担の増大により、利用者が施設やサービスの利用をとめる・控える実態がでています。施設利用断念は2.58%(きょうされん調べ。06年3月末時点)の数字がその実態を表しています。

 大阪地方本部のとりくんだ給食調理部会アンケートでは、4月以降の給食の実費負担について、@利用者が給食を断るケースがでている、A食材料費の見直しなど施設独自の工夫による負担軽減、B直営から外部委託へのきりかえで調理員が退職したなど切実な実態がだされ、職場では施設の存続に直接関わる問題として給食調理の話し合いがすすめられています。

 利用者の実態を無視した自立支援法に対し、応益負担反対の一致点で、多くの利用者・家族・関係者から反対の声・運動がまきおこりました。そして、立場や意見の違う障害者団体の共同が大きく展開されました。一致点に基づくたたかいが広がったことは重要な教訓です。また4月以降も共同の運動が継続され、大阪府庁を2,200人で包囲するなどの動きができています。このように高まる運動を背景に、大阪府は自立支援法関連で国への要望書をまとめ、地元選出国会議員へ働きかけをおこなうことを明らかにしています。

 私たちの運動により吹田市で3年間の負担軽減措置をおこなわせ、全国では240を超える自治体が負担軽減措置を実施しています。国や自治体に利用者の生活実態の把握をせまり、都道府県・自治体に軽減措置をとらせる、実態を施策に反映させる運動が必要です。

(3)認定子ども園による保育水準の低下・直接契約、保育制度を介護保険化に

 先の国会では「認定子ども園」法案が成立しました。待機児童数は23,338人(06年4月1日)となっており、国は待機児童解消につなげるとしていますが、認定子ども園は以下の問題点を含んでいます。@利用者と施設との直接契約、A施設による利用料の自由設定、B既存の幼稚園や保育所が子ども園に移行しやすいよう、双方の基準をひきさげるなどです。そしてこの法案とともに、保育所の職員配置基準のひきさげや給食の外部搬入などがねらわれています。「認定子ども園」は10月から本格実施ですが大阪府に向けて、パブリックコメントなど基準をひきさげさせない運動が重要です。

 規制改革・民間開放推進会議は「第2次答申」をおこない、それを受けて政府は、保育制度の保険化の方向性を閣議決定しました。2009年には介護保険と障害者福祉の統合をすすめようとしており、保育制度もくみいれる総保険化も懸念されます。福祉制度を破壊する社会保険化への反対運動が必要です。


第2節
「戦争する国づくり」のために「改憲」、在日米軍強化「再編」と費用負担

(1)自民党改憲草案と戦争をする国づくり

 自民党・公明党政府与党は、戦争する国づくりをめざしています。自民党は05年11月に「新憲法草案」を発表し、憲法9条第2項を削除して「自衛軍」と明記するなど、日本を戦争する国へと導くものです。そして通常国会では、憲法改悪につながる3つの法案が提出されました。「国民投票法案」「教育基本法改悪案」「共謀罪法案」です。

 自民党・公明党が発表した「日本国憲法の改正手続きに関する法律案・骨子素案」(国民投票法案)は、以下の重大な問題を含んでいます。@改正は有効投票数の過半数とする、A投票日7日前からの国民投票運動のための報道規制、B教員や公務員の運動の禁止などです。憲法改正という国民全体に関わる問題であるにもかかわらず、改憲する側にとって都合のよい内容です。

 教育基本法改悪案では、国の統制によって国民に愛国心をおしつけようとしています。教育基本法改悪は日本国憲法改悪と裏表の関係であり、「海外で戦争をする国」づくりに従う人間を育成することを目的としています。

 共謀罪法案は、実際に犯罪に着手しなくても話をしただけで犯罪とみなす法案です。この法律では、市民団体や労働組合も取り締まりの対象としています。自衛隊基地前のビラまきや休日の国家公務員のビラまきが有罪とされるなど、正当な活動でさえも警察が取り締まり、物言えぬ社会づくり、反体制の行動を取り締まる動きが各地でおこっています。

(2)米軍基地強化と憲法改悪への自治体・国民共同の反対世論

 日米首脳会談での米軍再編の合意は、在日米軍基地を再編強化することで、世界的な規模で日本とアメリカが世界の諸問題に軍事的に対処する方向性をうちだしたものです。その中身は、日米同盟の新たな段階への強化と米軍基地強化、3兆円もの日本負担です。

 しかし、改憲を許さない・米軍基地反対の国民の世論と共同が大きく広がっています。改憲につながる3法案は、通常国会では私たちの運動の力で継続審議にもちこむことができました。「九条の会」は全国で5,174組織(06年6月)、大阪では約500組織(06年7月)に広がり、草の根の地道な運動が世論を動かし大きな力になりました。

 5月15日付の産経新聞では、米軍基地再編での自衛隊と米軍の一体化は57%が反対を表明しています。岩国の住民投票では全有権者数の51%が反対し、4月の岩国市長選挙でも「移転反対」の井原市長が当選し、移転反対が民意と一体化していることを明らかにしました。また神奈川県の座間市長・相模原市長・鹿児島の鹿屋市長など、明確に反対の態度を表明し、自治体ぐるみのたたかいが始まっています。米軍基地再編での3兆円の負担は、定率減税の全廃(1.7兆円)、介護保険料ひきあげ(5,000億円)、医療改悪(3,400億円)など、社会保障をきりすて、あらたに国民負担に転嫁した額とほぼ同額です。

(3)靖国参拝と改憲世論の策動世界・日本の「9条守ろう」の世論

 北朝鮮ミサイル発射は、国際ルール無視と国際的な約束に違反した重大な問題です。国連安全保障理事会では全会一致でミサイル発射を非難し、発射の再凍結や核開発計画の放棄、6カ国協議による平和的、外交的解決をもとめています。しかし日本政府は外交的解決ではなく、北朝鮮のミサイル基地などを先制攻撃するための攻撃能力を保有すべきだ、と軍事拡大をすすめようとするなど、国際的にも孤立を深めています。先制攻撃ではなく国際的に北朝鮮を包囲し、憲法9条を生かして外交努力することこそ重要です。

 小泉首相の靖国神社参拝は、日本がアジア外交をすすめる上で最大の障壁となっています。靖国神社は戦争犯罪人であるA級戦犯をまつり、戦争を賛美する軍事博物館「遊就館」を併設しています。アジア各国のみならず、日本国内でも参拝反対の世論がまきおこっています。そして自民党総裁選挙においても、靖国神社参拝をするかどうかが自民党総裁選挙の争点のひとつとなっています。また日本経済界においても、次期首相はアジア政策を重視する首相を望む、とする声も起こるなど大きな変化があらわれています。

 世界でも憲法9条をめぐる世論がわきおこっています。6月にはカナダのバンクーバーで「世界平和フォーラム」が開催され、9条の価値が世界の中でも再確認されました。また11月には北東アジア「9条共同行動」が開催されます。

 憲法とはそもそも国を形作る基本部分です。アジアで2,000万人もの犠牲者をだした太平洋戦争を教訓に生みだされた憲法9条・教育基本法は変えてはなりません。そして、福祉は平和な世の中であってこそ発展します。

 改憲側は秋の臨時国会で、国民投票法案・教育基本法案・共謀罪法案の再提出・成立をめざしており、廃案をめざすことが重要です。世界の諸国民と手をつなぎ、平和を望む国民の運動の広がりに確信をもち、幅広い運動をすすめることが重要です。


第3節
拡大する新自由主義の弊害、雇用と社会保障の破壊、格差の拡大

(1)雇用の破壊と格差の拡大・大企業への企業責任の追及

 5年間の小泉構造改革で残ったものは、国民には痛みという名の暮らし破壊・社会保障改悪でした。自民党政治が財界と一緒になって規制緩和をすすめてきた弊害が表面化しています。JR福知山線脱線事故やアスベスト被害、耐震偽装事件、ライブドア事件・村上ファンド事件などコスト削減・利益最優先・安全対策軽視・違法株取引が国民生活に深刻な被害をもたらしています。国民犠牲の規制緩和ではなく、「企業の社会的責任(CSR)」の徹底や働くルールの確立をめざして、労働組合が先頭にたって国民・市民と共同した運動が求められています。

 そして、国民・労働者には雇用の破壊が押し付けられ人件費の削減・雇用の流動化がすすんでいます。生活保護水準並やそれ以下の労働者が急増し、勤労者世帯の20%となっています。いまや労働者の3人に1人はパート・アルバイトなどの不安定雇用労働者であり、青年・女性の2人に1人は非正規雇用労働者です。この8割近くが年収200万円以下の低賃金となっており、年休も補償されず社会保険にも加入できない状況です。また労働者の健康問題では、メンタル面で6割以上の労働者が人間関係や仕事の量・質で不安・ストレスを感じ、30代から50代の労働者の過労死がふえ続けています。

 そして、国民生活では格差社会がますます加速しています。このことの表れとして、年収2,000万円を超える高額所得者は30%増の20万人となっています。一方、年収200万円以下の低所得階層がこの10年間で24%増の1,000万人となっています。また、生活保護100万世帯や教育扶助・就学援助者増、貯蓄ゼロの世帯が23.8%に達するなど、格差が広がっています。このような中、05年の自殺者は32,552人で経済・生活苦による自殺は24%(約7,800人)にものぼるなど、国民生活の厳しい状況が明らかになっています。

 北九州市での生活保護の申請拒絶による孤独死事件など、最後のセイフティーネットである生活保護はまともに機能していません。そして行政から援助が受けられず経済的にいきづまり認知症の母を殺害した事件では「日本の介護制度や生活保護行政の在り方が問われている」と裁判所が異例の見解を表明し、国民の生存権保障に疑問をなげかけています。国民の生存権を保障する日本国憲法を生かす国・自治体行政を実行させることが求められています。

(2)労働法制の改悪の狙いと庶民大増税での混乱と怒りの声

 現行労働法制を解体に導く労働契約法制を政府はたくらんでいます。改悪の中身では、@労働条件の一方的なきり下げに「過半数組合」や「労使委員会」を利用できる制度の導入、A解雇の金銭的解決制度の導入、Bただ働き残業の合法化をはじめとする労働時間規制の全面的緩和などです。労働基準法と労働組合を無力化させてしまう内容です。この素案は労使ともに強く反発していますが、来年の通常国会で労働法制改悪案を厚労省は提出しようとしており、秋からのたたかいが重要です。

 また税制度の改正・見直しにより、06年度から所得税・住民税の定率減税が半減され、庶民への大増税が深刻です。また、老年者控除や公的年金等控除、高齢者の住民税限度額の廃止など、3年前と比較し約13倍の税額となる高齢者もでています。この結果、全国・大阪の役所に多くの市民からの相談・苦情の問いあわせが殺到し、大阪市では6月だけで124,000人(5世帯に1人)が区役所の窓口に押しかけています。07年に所得税・住民税の定率減税の全廃による影響で課税額はさらにふえ、私たち労働者にもさらなる負担増が押しつけられようとしています。

(3)医療改悪による高齢者負担増、社会保障制度解体と消費税の導入

 医療では、@高齢者医療の70歳から74歳の患者負担を現行の1割から2割負担への自己負担増、A病院給食や光熱費の自己負担、B療養病床を現行38万床から15万床までの削減・廃止、C混合診療の実施などの改悪がおこなわれました。お金のあることが医療を受ける前提として、医療に格差を持ち込むものです。

 政府の経済財政諮問会議は「骨太の方針2006」に、社会保障財源を口実にした消費税増税を明確に位置づけています。しかも同時に、5年間で1.6兆円を超える社会保障の財源を削ろうとしています。その中身は、@失業給付の国庫負担見直しや生活保護の母子加算の廃止を含めた見直し、A介護の公的給付の内容・範囲および介護報酬のあり方の見直し、B保険の対象からはずし自己負担をふやすなどの新たな医療改悪などがねらわれています。

 消費税が導入されてから15年間、国民への増税総額は148兆円であり、大企業など法人3税の減税総額145兆円と穴埋めに使われており、このことは大企業優先・国民いじめの政治を証明しています。

 社会保障を削る一方、@世界第2位の軍事費5兆円、A関西空港2期事業など不必要な大型公共事業、B在日米軍再編3兆円負担など政府は税金のムダづかいをしています。税金のムダづかいをやめさせ、大企業・高額所得者への優遇税制を見直し、社会保障など国民生活に還元させることは国民的課題です。そして、このことは労働運動も政治課題にとりくむ重要な意義をもつものです。


第4節
国と自治体をめぐる動き

(1)小さな政府づくりと公務員の総人件費削減

 政府・財界がすすめる「小さな政府」とは、福祉・医療・教育など社会保障きりすての国・自治体づくりです。そして政府は「官から民へ」をスローガンに、指定管理者制度、市場化テストなどによる公共サービスのきりすてや行政サービスに携わる公務員の削減をおこなっています。

 人事院勧告では、総人件費削減を目的に官民比較方法「見直し」作業がすすめられています。「比較対象企業を100人規模以上から、100人規模以下の50人規模」水準までひきさげ、賃金をひきさげようとしています。福祉施設の補助金の人件費算定は公務員準拠となっていることから、私たちの賃金に連動することは明らかです。福祉労働者のみならず、公務労働者のリストラは民間労働者に悪影響を与え悪循環をうみだします。小さな政府づくりを許さず、人勧問題は福祉労働者の課題でもあることをつかみ運動することが重要です。

(2)三位一体の改革と自治体リストラ

 三位一体の改革とは、@国から地方への補助金の削減、A国税から地方税への税源移譲、B地方交付税制度の見直し、の3つの改革です。この改革によって、地方の補助金が大幅に削られています。そして住民サービス見直し・削減は7割の自治体でおこなわれ、医療や福祉、生活に密接に関わる分野の切り捨てがすすんでいます。

 大阪府では、関西空港2期事業をすすめるかたわら財政難を理由として、高校生のエアコン代徴収、府立5病院の独立行政法人化など、府民の暮らしをきりすてる行財政計画をすすめてきました。そして、平成22年に黒字財政となるよう400億円の見直しを視野に入れた府民福祉きりすての新たな行財政計画が、8月にも発表される見通しです。

 大阪府をはじめとした府下の自治体の財政状況は、今後ますます厳しくなっていくことが予測され、自治体の独自施策をまもる運動が重要になっています。

(3)大阪市の不公正乱脈な同和事業への批判とわたしたちの運動

 大阪市の市職員厚遇問題をきっかけにマスコミは一斉に公務員バッシングをはじめました。これを受け、大阪市では「大阪市福利厚生制度等改革委員会第2次報告」を発表しました。監理団体8,921人をその対象として、福利厚生制度について見直し、3.9億円を効果額としています。みおつくし福祉会など大阪市の委託料や補助金等の公金など大阪市との関連が深い団体として、その影響がおよんでいます。見直しでは、結婚祝金・出産祝金、傷病見舞金、休業見舞金などがあがっています。

 そして大阪市の関マニフェストでは、@地下鉄・市バスの民営化、A学校給食の民間委託、Bごみ収集や市民病院、C水道事業の独立行政法人化などを提案し、市民サービスをきりすてようとしています。そして地下鉄・水道など黒字となっている事業は、企業に売り渡そうとしています。

 このような福祉きりすてに市民からの批判が起こっています。児童館・トモノス存続運動では、高まる市民運動で40年ぶりに市長提案を継続審議に持ち込みました。5月議会では廃止と決定されましたが、新しい事業移行で中・高校生の受け入れを表明させたことは、市民とともに運動をつくった大きな成果です。

 不公正乱脈な同和事業では、大阪市の芦原病院への320億円もの貸付金・補助金の不正支出、飛鳥会問題が明らかになりました。また大阪市社会福祉協議会へのヘルパーの退職金補助の名目等での芦原病院への2億5千万円もの融資など、福祉を同和事業に利用するなどもってのほかです。このような大阪市と同和行政の癒着に対し市民から批判の声があがり、市民の告発アピール運動がはじまっています。

 大阪市の不公正乱脈な同和事業にメスを入れ、市民本位の市政へと転換する運動がますます重要です。

(4)政治の流れの変化と要求実現

 政府与党による政治と国民生活の矛盾が激化し、政治の流れに大きな変化がおこっています。7月には東大阪市長選挙がおこなわれ、長尾市長がかえり咲きを果たしました。不公正乱脈な同和行政、国民健康保険料、介護保険料の負担軽減などの公約が市民の共感をえた結果です。また滋賀県知事選挙では新幹線新駅の凍結・見直しで「もったいない」を掲げた嘉田知事が当選し、自公民推薦の現職知事がやぶれました。各地で税金のムダ使いをやめ、暮らし優先・国民生活充実を求める声がおこっています。

 国・自治体の補助金削減、自立支援法や介護保険など福祉制度の改悪は、福祉職場や福祉労働者に大きく影響しています。国民生活の悪化をそのままにして、福祉労働者の労働条件だけを改善することはできません。07年には一斉地方選挙、参議院選挙がおこなわれます。国民の要求にねざした運動を展開し、現状を打開できる土台が広がっています。ここに確信を持ち、社会保障の改悪の流れを変えることは私たちの生活をよくする大きなチャンスと位置づけ、行動していくことが重要です。


第3章
要求と運動の展開

第1節
学習を強化し、改憲の策動にたいする反撃を強めよう

 「戦争か平和か」が重要な対立軸となり、日本の戦後史をかけた「正念場」のたたかいとなります。日本をふたたび「戦争する国」につくりかえる改憲策動を阻止し、現行憲法を生かした平和の日本を築くために、憲法闘争をすべての課題に優先する運動として位置づけます。また、政府は9月から12月にかけて臨時国会を予定していますが、通常国会で継続審議となっている教育基本法改悪法案、国民投票法案とあわせて、共謀罪の新設法案を国会に上程し、数の力で押し通すねらいがあります。これらの法案を憲法改悪と一体の動きとしてとらえ、改悪反対の大きな運動を展開していきましょう。

(具体的とりくみ)

@06年12月末までには、全職場で「九条の会」を立ちあげていきます。また、「憲法を守る」府民過半数の世論形成をめざし、憲法署名の目標10万筆の達成をめざします。また、月1回の宣伝行動にとりくみます。
A憲法闘争の担い手づくりを重視し、ひきつづき勤通大憲法特別コースの受講を推進していきます。国民投票法案、共謀罪法案の学習と運動をつよめていきます。
B「子どもと教育・文化を守る大阪府民会議」に結集し、教育基本法改悪案を廃案に追いこんでいくため、引き続き職場、地域からの宣伝、署名にとりくんでいきます。


第2節
社会保障・福祉を守るたたかいと増税反対などの国民共同運動、政治戦のとりくみ

 7月18日に財務大臣と厚生労働大臣との間で、2007年度予算の概算要求基準について、高齢化にともなう社会保障費の自然増7,700億円を2,200億円圧縮することを合意しました。また、経済財政担当大臣は新聞のインタビューの中で、消費税率の引き上げについて「2007年の暮れの自民党税制調査会で結論が出るだろう」とのべ、結論は来年夏の参議院選挙後になる見通しを示すなど選挙での争点ぼかしに躍起になっています。

 こうした社会保障費の削減、消費税増税問題、憲法改悪の策動などの悪政にたいし、2007年におこなわれる「参議院選挙」と「統一地方選挙」を、国民の審判を下すチンャンスととらえ、大いに論議していきます。

(具体的とりくみ)

@11月下旬から12月上旬に行われる「福祉関係者共同集会」は100人の参加をめざすとともに、「権利としての社会福祉の構築」での意思統一をはかっていきます。

A09年度の障害者自立支援制度と介護保険制度との統合、保育の育児保険化など、総合社会保険構想に反対し、利用者、家族会との懇談をおこなっていきます。また、府社会福祉経営者部会、経営者同友会と意見交換をおこなっていきます。障害者団体、保育団体などとともに共同行動、要求運動を追求していきます。

B2007年通常国会に提出予定の「福祉人材確保指針」改正にあたり、社会福祉の現場の実態を明らかにするために、利用者、経営者の協力も得ながら、職場白書づくりをすすめていきます。

C「認定子ども園」の認定基準を現行水準にするよう「職場決議」をあげ、9月中旬までには、大阪府に提出していきます。

D府知事宛に陳情署名をとりくみます。府民の福祉を守り、労働者の労働条件改善をめざしていきます。また、ひきつづき「大阪府立施設の存続・発展をすすめる会」の運動をすすめます。

E支部が中心となり、自治体ごとに要求をまとめ、分会のある自治体との交渉をおこなっていきます。

F社会保障の財源などを口実にした消費税の目的税化や増税に断固反対していきます。そのためにも、「大企業・金持ちには減税、国民には増税」などの不公正税制をやめさせる運動を大阪労連とともにすすめていきます。

G統一地方選挙における首長選挙では、住民のくらしと福祉を守ることを公約に掲げる革新・民主勢力の候補者の当選をめざします。地方議会議員や参議院選挙では、政党支持、政治活動の自由を尊重しつつ、憲法を暮らしに生かす、格差社会の是正の実現をめざす勢力の前進をめざし大いに論議していきます。


第3節
格差是正、賃金闘争の前進と働くルールの確立をめざして

 パート、非常勤職員の均等待遇の実現、パート労働法の改正、社会的格差の是正を求める国民共同の運動の追求が労働組合の重要な課題となっています。また、政府が準備している「ただ働き残業」の合法化、労働時間規制の全面緩和をねらう労働基準法の改悪や、新たな労働契約法制など労働法制の改悪に反対していきます。

(1)職場内のとりくみ

@福祉制度の改悪、自治体の補助金の削減などにたいする学習会をおこなっていきます。経営には予算書、決算書、平均勤続年数、平均給与額の開示を求めていきます。経営状況での労使の認識を一致させていきます。経営にたいし、労働条件の改善では最大限の努力を求めていきます。そのためにも、財政分析の学習会をすすめていきます。

A正規職員、非正規職員の労働実態調査をおこなっていきます。非正規職員の均等待遇を基本にして、賃金、一時金、退職共済、社会保険などの条件を整えるよう要求していきます。拡大再生産、積立金問題では、ひきつづき大阪地方本部賃金対策検討委員会で論議していきます。

Bサービス残業の根絶をめざします。そのためにも全職場でタイムカードの設置を要求していきます。

Cメンタルヘルスでは、病気休職保障として3ヶ月の有給保障を求めていきます。福祉保育労共済の「医療共済」掛金への経営負担を求めていきます。労使での安全衛生委員会を設置し、原因の追究、予防に努めていきます。大阪労働安全センターが開催する講座には、労使で参加をめざします。労災職業病学校にも参加していきます。

D通所施設での1年間変形労働時間制に反対していきます。導入する場合でも充分な労使での検討をおこなっていきます。

E集団労働を破壊する成績主義賃金には断固反対します。

F職場での労使関係のいっそうの正常化にむけて対策を強化していきます。原則として、電話の取り次ぎ、掲示板の設置、機関会議への勤務内組合活動の保障など、基本的組合活動として経営に要求していきます。

(2)国民的課題でのとりくみ

@「官から民へ」でさらなる公務リストラによる市民サービスきりすてに反対していきます。

A地域社保協に結集し、運動をすすめていきます。

B大阪労連に結集し、底なしの低賃金に歯どめをかける「地域最低賃金」の大幅引き上げ、「全国一律最低賃金制」確立運動をとりくみます。公契約運動を学習し、運動していきます。合わせて、最低保障年金制度創設に積極的にとりくみます。

C福祉労働者の賃金に大きな影響を与える人事院勧告は大阪公務共闘に結集しマイナス勧告に反対していきます。

Dサービス残業の合法化、首切り自由化をねらう「労働法制改悪」の内容を学習するとともに、反対運動をとりくみます。

E職場実態調査を実施し、福祉労働者の賃金や労働条件のあり方を検討していきます。


第4章
組織の拡大・強化の流れを定着させよう

(1)福祉保育労の組織現勢

 職場での組合結成は、3月に「大阪聴力障害者福祉事業協会分会あすくの里班」(羽曳野市)、5月には、社会福祉法人むくの会「こっこ保育園」(寝屋川市)、社会福祉法人くぬぎ会「佐井寺たんぽぽ保育園」(吹田市)、同法人「双葉保育園」が組合に加入し、4職場であらたに組合が結成されました。労働条件の変更などが組合結成のきっかけとなりました。門真市のめぐみ保育園でも分会結成にむけての活動をおこなっています。組合員が退職したことにより1分会が消滅し、1分会が点在となりました。

 福祉保育労大阪地本の現勢は06年5月現在63分会、118職場、○○人となっています。

 制度改悪や自治体の補助金の削減などで、未組織職場でも賃金、労働時間など労働条件の改悪はすすんでいます。その点では、未組織職場での組織拡大の条件は広がっています。

 未組織職場での組織拡大とすべての民間福祉労働者を視野にいれた政府・自治体への要求を確立し、その実現をめざす運動の配置が必要となっています。

(2)とりくみの具体化

@すべての職場で、非正規職員も含めてすべての職員を対象に組合加入をよびかけていきます。管理職を除く職員総数の過半数を組織していない分会は、経営との協約締結権を確保する上でも過半数以上をめざし、過半数以上を確保している職場では100%の組合をめざします。

A分(班)会は支部に結集し、支部を単位に分会代表者会議を定例化していきます。「地本担当・支部代表者会議」には、支部代表と支部担当地本執行委員で構成し定例化していきます。また青年部、女性部の強化をはかっていきます。

B福祉労働のあり方検討や要求・政策づくり、職場の仕事を軸とした交流をめざし種別協議会を強化していきます。そのためにも種別担当執行委員と種別代表で構成する「業種別・政策委員会」の定例化をめざします。

C今年度中には3,000人の大阪地方本部づくりをめざします。職場での未組織職員の3人以上の加入と、未組織職場の加入をすすめていきます。

D非正規職員の組織化を意識的に組織し、可能な分会では「パート・非常勤部会」を確立し、パート・非常勤職員の自主的な活動を強化していきます。地方本部に「パート・非常勤部会」の確立をめざします。

E大阪労連が提起する単産共同のヘルパー労組づくりを検討していきます。障害、高齢、保育の分野でも関係労組との交流をおこなっていきます。

Fどんな攻撃にも負けない組合運動をめざし、ひきつづき、「学習講座」を成功させていきます。「福祉のひろば」などの購読など学習運動の風を職場からふかせていくとともに、活動者づくりを意識的・積極的にすすめていきます。

G分会は役員体制を確立し、少なくとも月1回以上の定例分会(班)会議をおこなっていきます。地本大会には、分会臨時大会を開き、議案書を論議し、代議員を選出していくことを重視していきます。分会ニュースの発行をめざします。

H11月26日で行われる第19回大阪社会福祉研究集会は200人の参加で成功させていきます。そのためにも支部、種別協議会で実行委員を選出していきます。11月24日の記念講演は300人目標で成功させていきます。

-全国福祉保育労働組合大阪地方本部-