■第5号議案 2004年度秋季年末闘争方針(案)■ | 戻る |
はじめに<1> 秋季年末闘争方針は定期大会の運動方針の上にたって、秋から年末にかけての運動をいっそう具体化したものです。この期間は、後に述べる情勢のあらたな展開から、05年度4月からの賃金や職員配置など人件費にかかわる諸問題が、職場や法人でこれまで以上に早く課題として経営から提起されてくることが予測されます。この点では、「05春闘」の準備や前倒しなど、秋季年末闘争を「05春闘」に連動した運動として位置づけることが重要です。 <2> 8月24日、全国知事会など地方6団体は総額3兆2,283億円の国庫補助負担金の一般財源化を求める「国庫補助負担金等に関する改革案」を小泉首相に提出しました。社会福祉関係では児童保護措置費や民間保育所の保育運営費4,127億円・養護老人ホーム等措置費567億円・社会福祉施設等施設整備費1,321億円など、総額9,364億円が一般財源化の対象となっています。 この「改革案」は04年度から06年度を「第1期」として、上記の国庫補助負担金の一般財源化はその「第1期」でとりあつかわれ、一般財源化と並行して約3兆円程度を国から自治体に税源移譲をおこなうことを求めています。 このような地方6団体の「改革案」に対し、小泉首相は「05年度予算にできるだけ生かす」として、11月中に「三位一体改革」の全体像を取りまとめるとしています。 9月1日、大阪府は『21世紀の自治体経営モデル』として「行財政計画改定素案」を発表しました。「改定素案」では毎年大阪府に入る一般財源のうち、府職員の人件費や借金返済など必要経費の割合をしめす「経常収支比率」は03年度で101.1%と支出が収入を上回る赤字状態にあり、大阪府は全国ワースト・ワンの財政悪化の状況にあるとしています。 これまで、太田府政は財政不足分を貯金(減債基金)の取り崩しで補ってきましたが、07年度には累積赤字1,440億円になるとの見通しをしめしています(約590億円で赤字債権団体)。そのために「改定素案」では、「05年から07年を緊急のとりくみ期間とし、総額1,225億円の行革効果を生み出し、07年度の赤字額を290億円に抑え赤字団体の転落を回避する」としています。 このような財政見通しを示しながら、ムダな関空2期工事の推進・強行の姿勢をつらぬく一方で、赤字債権団体を理由に福祉、教育、医療等府民生活に直結する予算の切りすてをおしすすめています。このような太田府政の姿勢は「地方自治の放棄」そのものであり、けっして許せるものではありません。 <4> 大阪府健康福祉部はこれまでの「公私間格差是正制度」にかわり、「大阪府民間社会福祉施設職員給与改善費に係る次世代の補助制度のあり方について」(以下、「再構築報告」と略す)を取りまとめています。しかし、「再構築報告」そのものが、報告以降に明らかになった国の「三位一体改革」の動きや大阪府の「行財政計画改定素案」の間で大きな矛盾を生じてきています。例えば、「再構築報告」の中でいわれる「施設経営安定化の推進費」は措置費・保育運営費に限定されていますが、「三位一体改革」での措置費・保育運営費の一般財源化は「施設経営安定化の推進費」の積算根拠そのものを奪うこととなってしまいます。また、「行財政計画改定素案」は府民生活に直結する福祉・医療・教育等の予算削減を強調しており、「再構築検討会」のなかで事務局(担当課)が私案として示していた約46億円の財源確保すら危ぶまれる状況となっています。 このような情勢の急転回するもとで、あらためて「民間給与改善費」(公私間格差是正制度)の新たな方向性については、府民福祉の向上にむけ「安定した人材確保と施設運営が適切に行える」制度にしていくための運動強化が重要となっています。大阪地方本部は、「再構築検討会」で出された事務局原案の中での「『勤続年数補正』にもとづいた補助制度」という考え方を土台にして、大阪府独自の新たな人件費補助制度をつくらせる具体的な提案をしていきます。 あわせて、大阪市や、中核としてある堺市・高槻市・東大阪市(05年4月から中核都市を予定)への運動強化についても、大阪府への運動と並行して強化していく必要があります。 <5> 堺市は7月23日、今年度9月1日からモデル事業として「認証保育所」制度をスタートさせることを突然のように発表しました。堺市のこの制度は、規制緩和の上にたって「認可保育所に劣らない保育サービス(11時間保育や低年齢児保育等)を提供できる認可外保育施設を認証保育所として指定し、その設置および運営に係る経費の一定額補助する制度」としています。当面、株式会社の経営する「駅型」保育所1ヶ所、学校法人の経営する「幼稚園併設型」保育所2ヶ所が開設予定となっています。 職員配置基準は、「乳児3対1、1〜2才児6対1」となっていますが、「必要とする保育士の5割以上が週40時間労働の職員であること」が示すように、ここでは保育士の正規職員・非正規職員であるのかどうかが問われないばかりか、厚労省通知にもとづいた「短時間勤務保育士」の積極導入すら読みとれるような内容となっています。 堺市は新制度導入で、安上がりで、効率的な保育所待機児童の解消を図るとして、今後の拡充方向を明らかにしています。 すでに事業がはじまっている点では、<1>これ以上の事業所数を増やさせない、<2>現行基準を引き上げさせる、<3>府下の他市町村に広げさせない等々、保育協議会や関係職場での検討と学習が重要となっています。 【1】重 点 課 題(1)憲法改悪を許さない運動<1> 支部、分(班)会で、「学習の友別冊・憲法特集」やブックレットをつかって憲法学習を組織していきます。また、今後、具体化される「憲法を守ろう」の一点での地域組織に積極的に参加し、毎月9日の「府内いっせい宣伝・署名行動」や、「悪政を正すため、愛するものを守るため命をかけのたたかいを描いた」映画「草の乱」上映運動を成功させていきます。また、署名運動では、当面、組合員一人当たり50筆(大阪地方本部10万筆)を目標にとりくみます。 <2> 以下の「憲法を守る」運動の行動日程を、積極的に組織し参加していきます。 ・9月18日 「九条の会」大阪講演会(13:30〜 中ノ島公会堂) ・11月3日 「11・3輝け9条大阪のつどい」(13:30〜 寝屋川市民会館) (2)大阪府「新たな補助金制度」と賃金闘争の強化のとりくみ<1> 大阪府の「新たな補助金制度」は、予定では10月から11月にかけて大阪府としての具体化、12月中旬から施設への周知徹底、05年4月の実施となります。 この点では、10月中旬をメドに対府交渉を予定し、府民福祉が守られ福祉経営の安定化と人材確保を基礎とした補助制度と補助金総額の確保を求め、福祉労働者が展望を持って働き続けられる労働諸条件をめざします。また、支部を中心に堺市、高槻市、東大阪市へも同様の制度確立をめざして運動をとりくんでいきます。大阪市については、制度のあり方すら明らかにしようとしない状況のもとで制度存続を軸に、すでに打ち切りとなっている介護施設や支援費施設への補助制度の復活を含めた運動の強化をとりくみます。 府庁前宣伝行動や府議会署名をはじめとした「大阪府にむけての行動」は、別途具体化をめざします(付属文書参照)。 <2> 大阪府の「新たな補助金制度」のあり方について、業界や関係者との共同、懇談を強化していきます。同様のとりくみを大阪市、堺市、高槻市、東大阪市など、当該の支部、分会でも強化していきます。 また、業界や経営にたいし、初任給格付・月額176,000円、時給1,000円を最低限とした非常勤・パート職員の賃金底上げを要求し、福祉労働者の賃金底上げの世論化につとめます。 <3> 職場での賃金は、名称のいかんを問わず労働力の再生産費=生活費と明確に位置づけ、「成績給」体系や人事考課に断固反対していきます。また、賃金体系については「通し号俸」を原則とし、職場の団結を軸に労使交渉で決めていきます。そして、10月〜11月にかけ、保育・障害・高齢者などの種別を単位にして「職場財政分析」学習会を開いていきます。また、支部や分(班)会でも同様の学習会を積極的に開いていきます。 地本「賃金検討委員会」を再開し、その都度、具体的な「職場での賃金体系のあり方」について指針を提起していきます。経営にたいし12月初旬に地本統一(説明)懇談会を申入れ、理事長・施設長の出席を求めていきます。また、このとりくみには、地本・支部・分(班)会のすべてで代表者を組織し、労使の相違点と合意点を明確にさせ一致できる合意点での共同のとりくみを強化していきます。 冬季一時金の支給は年間4.4ヶ月を原則にして、夏季一時金の支給状況や職場・経営状況を含め原則的な対応をしていきます。また、非正規職員の賃金底上げや一時金支給引き上げを積極的にとりくみます。 <4>大阪公務共闘に積極的に参加し、公務員の「人勧闘争」に共同していきます。また、大阪労連の提起する非正規労働者「均等待遇実現」労働実態アンケートに積極的にとりくみ、それを契機に地本「非常勤・パート」部会を立ち上げていきます。 11月9日(17:00〜19:00)の京橋・「最賃・非正規労働者賃金底上げ」宣伝行動を組織化するとともに、「公契約・賃金適正確保」運動に積極的に参加していきます。 (3)社会保障改悪・福祉制度解体にたいし、政府・厚労省への運動強化のとりくみ<1> 「年金」改悪の10月実施を許さず小泉構造改革路線による社会保障制度の総破壊に反対し、全額国庫負担金でまかなう「月7万円の最低保障年金制度」、「全国一律最低賃金制」、働くルールの確立等をめざして、全労連や社保協が提起する国民的運動に結集してたたかいます。 「年金『改革』法の中止をもとめる緊急国会請願署名」の取りくみは、10月末までとして集約した署名を臨時国会に掲出していきます。とりくみに当たっては組合員一人当たり10筆(地本目標20,000筆)を目標とします。 <2> 公的福祉制度の擁護と拡充による国民の福祉要求実現をめざして、関係諸団体との共同運動を前進させます。また、政府・自治体の05年度予算編成への要求運動を強め、福祉予算の削減と「三位一体改革」による自治体の福祉切りすてに反対する共同行動を強化していきます。 とりわけ、「三位一体改革」による措置費・保育運営費、施設整備費等の一般財源化に対しては、緊急反対ファックス・ハガキ行動を職場・分(班)会でとりくんでいきます。 保育職場を軸に「保育署名」(仮称)をとりくみ、パンフ「保育所が根こそぎ変えられる」を使って、自治労連保育部会・大保連と共同して未組織職場訪問を行なっていきます。 <3> 11月23日の東京での「福祉を守る共同集会」(仮称)には、職場から1名以上(大阪地本として100人規模)の代表者を組織し、集会を成功させていきます。また、消費税導入を前提とした福祉施策に反対し、「福祉を守る国民署名」(仮称)を組合員1人あたり50筆(大阪地本10万筆目標)でとりくみます。このとりくみでは、社会福祉経営者同友会に共同を申し入れるとともに、未組織職場を訪問して集会参加と署名の協力を訴えていきます。 (4)「05春闘」準備と組織拡大強化のとりくみ<1> 府下すべての自治体を対象にした大阪労連の「秋のキャラバン行動」に、支部・分(班)会で積極的にとりくみます。この行動は、<1>憲法と地方自治を守ること、<2>「三位一体改革」や行財政計画改定素案への反対、<3>パート・非常勤労働者の均等待遇、<4>公契約運動・雇用確保の推進など、「05春闘」に連動するとりくみとしてとりくまれます。 <2>「くらしの要求アンケート」のとりくみを10月末までにおこない、12月上旬に「05春闘討論集会」を準備します。この討論集会にむけて、「大阪地方本部05国民春闘方針骨格」を討議素材として提起していきます。 <3> 11月1日〜12月末を組織拡大月間として設定し、非常勤・パート職員の組織化と「非常勤・パート部会」の立ち上げ、支部を単位に1分会2職場の未組織職場の訪問をおこない目標にかかげた未組織職場の組織化や、分(班)会での過半数組合づくりをめざします。 また、すべての分会で、パート、非常勤職員の要求をもとにしたパート・非常勤職員の積極的な組織化をめざします。 <4> 不当解雇や差別・組合つぶし等の不当労働行為とたたかう組合・組合員にたいし、組合員1人あたり300円の「年末連帯カンパ」を11月末までにとりくみます。 <5> 福祉保育労大阪地方本部の拡大強化と組合運動をになう活動家・幹部の育成にむけて、 関西勤労協に協力要請をおこない「講座実行委員会」を立ち上げていきます。 <6> 大阪労働健康安全センターが行なう「メンタルヘルスの基礎講座」を施設の研修として位置づけさせ、積極的に参加・組織していきます。 10月16日におこなわれる「現代の疲労とストレス」の講座は、施設研修と位置づけさせ、各職場からの参加をお願いしたいと思っています。 【2】おもな日程
9月9日によどっこ保育園に議案書説明に行きました。熱心な討論がおこなわれました。大阪市の公私間制度がどうなるかわからない、大阪市も税金の使い方を考えてもらいたい、憲法改悪には絶対反対。給料が下がっているのに臨時組合費の徴収は厳しいなど様々な意見が出ました。 討論の中で、情勢は大変厳しいけれど、保護者から信頼される保育をめざし、保護者との運動の共同をおこなっている自信と、誇りを感じることができました。ベテラン職員も、若い職員もみんなで話し合う中で運動方針をみんなで実践していく方向が確認されました。 今大会が、運動をたたかう大きな意思統一の場になることを期待し、議案の説明を終わります。 |